大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和28(あ)1898 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鹿又文雄の上告趣意について。

所論前段は、原判決には訴訟法規に違背した証拠調による証人尋問調書を証拠と

した違法があり、右違法は憲法三七条一項に違反すると主張する。しかしながら所

論の事由は、控訴趣意として主張されず、従つて原審の判断を経ていないのである

から、適法な上告の理由とならない。のみならず、所論のような場合が憲法三七条

一項にかかわるものでないことは、同条項に関する当裁判所大法廷判決の趣旨に徴

して明らかである(昭和二二年(れ)一七一号同二三年五月五日判決、昭和二二年

(れ)四八号同二三年五月二六日判決参照)。

所論後段の被告人の自白が自己に不利益な唯一の証拠であるとの主張も、控訴趣

意として主張されず、原審の判断を経ていないのであるから、適法な上告理由とな

らない。のみならず原判決の肯認した第一審判決挙示の証拠と被告人の自白と相待

つて全体として見れば犯罪事実を認定し得られるのであるから所論の違法はない(

昭和二三年(れ)七七号同二四年五月一八日当裁判所大法廷判決参照)。また記録

を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三〇年三月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

- 1 -

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!